金属加工の歴史

金属加工の歴史

金属加工の発端は、数千年前に人類が原料となる金を発見したことや、鉱物や岩石などの鉱石から不純物を取り出して金の純度を高める精錬技術の発見によるとされています。

これらの金属素材を加工する技術によって、人類が道具を使うという生活の進歩から文明の発展につながりました。

人類の金属加工の歴史

金属加工の始まりについては諸説ありますが、今から6000年以上前の古代エジプト文明ではすでに金属加工の形跡が残されています。

古代エジプトの墓の中から発掘された多くの装身具には、金属をハンマーで叩いて加工する「鍛造(たんぞう)」が施され、やがて金属を溶かして金型に流し固める「成形加工」へ発展したことがわかります。

このように古代エジプトでは、天然の金や銀、銅などの素材を使用し、武器や装飾品、礼拝物などを製造、その後、斧(おの)や鍬(くわ)など農耕具の大量生産へとつながりました。

日本での金属加工のはじまり

これらの金属材料と加工技術は、その後ヨーロッパやアジア地域に広がり、日本には紀元前470年頃に大陸から鉄が持ち込まれ鍛造による加工が始まりました。

その後、古墳時代に朝鮮半島より鍛治技術が入ると、農具や刀剣、鉄砲などの武器などが作られるようになり、平安時代には日本刀の技術が完成。

日本独自の刀鍛冶技術が生まれ、現在の精密鍛造につながっています。

現代における金属加工

やがて、日本の金属加工は、金属を溶かして型に流し込み成形する鋳造技術へと発展。

明治以降の急速な工業化に伴い、大型の自由鍛造技術による駆動部品や金型を使用した自動車部品や精密部品など、生産方法も大量生産による効率化が進むようになりました。

そして、現代の金属加工業界は、加工の機械化と化学技術の発展とともに、新たな時代に入りました。

その一つが、NC装置を備えた工作機械です。

NC工作機械は、金属の不要な部分を取り除き(除去加工)、目的のカタチに仕上げる金属加工機械です。

自動車や航空機の部品をはじめ、金型や電子機器・スマホなど、さまざまな精密部品がNC工作機械から生まれています。

「機械をつくるための機械」として、マザーマシン(母なる機械)ともよばれ、NC工作機械自身の部品も工作機械を使いつくられています。

「NC工作機械ってどんな機械?」はじめの工作機械

NC装置とは、数値によって工具の経路や加工工程を制御する仕組みで、金属加工の自動化をもたらし、金属加工業界の飛躍的な発展につながっています。

さらに、3Dプリンタや5軸制御マシニングセンタなど、コンピューター制御による精密な加工を可能にする機械開発も進んでいます。

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