金属加工でつくられる身近なモノ
私たちの身のまわりにある、ありとあらゆる製品に金属素材が取り入れられています。
街中で目にする自動車や建築部材、電子機器、工業製品、航空部品、家庭内にある電化製品、装飾品、文具、パソコン、食器、家具など、もはや金属で作られていないカテゴリーの方が少ないといえるでしょう。
ここでは、金属で作られる製品別に詳しく見ていきましょう。
自動車でみる金属加工
自動車のボディやフレームなどの構造部品には、主に鉄鋼が使われています。
鋼は鉄に比べて薄く延ばして加工することができて、かつ強度や靭性、磁性、耐熱性に優れているという特徴があります。自動車のドアやボンネット、ボディなどの成形には、高精度なプレス機を使用します。
自動車は「金属加工」のかたまりです。自動車の運動性能や燃費・耐環境性能をあげるためには、精度の高い金属加工がかかせません。
自動車にはおよそ2万点の部品が使われており、ミクロン単位の加工精度がもとめられます。品質の高いメイドインジャパンの自動車部品は、世界でも高いシェアを誇っています。
「金属加工でみる!自動車業界の加工事例」はじめの工作機械
自動車の軽量化は、運動性能だけでなく燃費の向上などにつながることから、一部の部品には軽量なアルミニウムも採用され、さらに大きな抗張力を持つ素材の改良や加工技術の開発も進んでいます。
航空機でみる金属加工
飛行機の機体は、アルミニウム合金が約70%、ステンレス鋼が約15%、その他チタンやプラスチックで構成されています。
アルミニウム合金は、ジェラルミンと呼ばれ、軽量でありながら丈夫なことで知られています。
また、航空機で最近注目されている新素材の一つには、カーボン(炭素繊維複合体)があります。
自動車レースF1のボディにも採用されていて、従来のアルミニウム合金に比べ、燃料効率が20%向上するという効果をもたらしています。
電子機器でみる金属加工
近年、モバイルやIoT端末をはじめとする電子機器の軽量化、コンパクト化、高性能化はいっそう進みつつあります。
これらの製品の部品におよぶ高精度化へのニーズを背景に、金属加工機械の開発も進んでいます。
NC(数値制御)化された、シャーリング、ベンダーなどの精密加工技術がこれらの加工を可能に、従来は金型を使用して行なっていたプレス加工を、金型なしで加工する高精度精密板金技術は、OA機器や内視鏡などの医療分野、さらにロボット開発など先端技術にも応用されています。
家電でみる金属加工
家電製品は、エアコンや電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機、その他さまざまなものに金属加工部品が使用されています。
家電製品の多くは、耐久性や耐食性に優れたステンレスや亜鉛めっき、軽量で加工しやすいアルミニウムなどの素材を使用し、プレス加工により製造されています。
家電製品の金属加工では、大量生産や軽量小型化という効率面だけでなく、リサイクルのしやすさなど地球環境を考慮した新たなニーズも高まりつつあります。